ジョン・コルトレーン&デューク・エリントンという、世代もスタイルもまったく異なる両巨人による異色の共演盤。当時コルトレーンは36歳、エリントンは63歳だった。唐突とも思える両者の共演だが、これが見事というか、違和感がないというか、とにかく稀に見る緊密なコラボレーションを繰り広げている。

選曲はエリントン主導で、ほとんどがエリントンナンバー。コルトレーンのオリジナルは、<3>の1曲のみだ。このことからもわかるように、本作はコルトレーンが先輩のエリントンに歩み寄ったことによって成立したセッションといえる。この当時のコルトレーンはシーツ・オブ・サウンドを駆使し、アグレッシヴな演奏を行っていたが、ここではそうした日常活動は小休止して、エリントンの世界に身をゆだねている。

そういう意味では、『バラード』やジョニー・ハートマンとの共演盤に通じる安らぎの世界がここにある。エリントンに対する敬愛の念。本作の成功要因はそれに尽きるといってもいい。(市川正二)

 ・ amazon music : Duke Ellington & John Coltrane (1962)

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