不思議なアルバムだ。なにが不思議といって、その顔合わせがなんともミステリアス。ケニー・ドーハムとジョン・コルトレーンの2管をフィーチャーしたクインテットで、ピアノはなんとセシル・テイラーなのだ。実はこのアルバム、セシルのリーダー作として制作されたもので、当初のタイトルは『ハード・ドライヴィング』だった。それが途中から現在のタイトルに変更され、あたかもコルトレーンのリーダー作のように扱われるようになった。でその演奏だが、びっくりするほどオーソドックスなハードバップ。ケニー・ドーハムとチャック・イスラエルのオリジナル各1曲にスタンダード2曲という選曲からしても、ドーハムにとって一番居心地のいい世界だったろうと思われる種類のジャズだ。セシルとコルトレーンは60年代に入ると過激なフリー・ジャズと突入するが、この時点 (58年) ではまだハードバッパーとしての名残を留めていた。だからこのような共演が可能だったのだ。そういう観点から眺めると、非常に興味深い異色セッションだ。(市川正二)

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